認知心理学からのアプローチその2

意思に関係なく自動的に行われていた記憶ですが、これにはもうひとつ重要な要素があります。

それは、『反復』です。

 

人間の記憶で短期的に蓄えられたものは、そのまま放っておくと忘れてしまうのです。

これを心理学者のヘルマン・エビングハウスは「忘却曲線」としてグラフで示しました。

 

簡単に言うと、人間の記憶は約20分を過ぎるとどんどん忘れていく、忘れる前に反復すると記憶の定着率が上がる。

といったものです。

 

ではなぜ反復なのでしょうか?

 

人間の原始的な脳は「反復すると言うことは、私が生きていく上で必要なことなんだ」と解釈するのです。そして、必要な感覚器官・行動・思考などのニューラルネットワークを太く活発にしていくのです。

 

しかし、一旦長期記憶に蓄えられると忘れることは出来ません。

 

よくセラピーに来た人がこんなことを言います「私の嫌な記憶を催眠で消せませんか?」。

 

答えは『出来ません』・・・です。

 

一度記憶として蓄えられると消すことは出来ないのです。


我々が行うのは、その蓄えられているエピソード記憶のエピソード(dominant story)を新たなエピソード(alternative story)に書き換える手助けをしたり、その記憶(主に映像)に紐付けされている情動を切り離したり違うものに変えたりするのです。

 

続く・・・。

疇地心理研究所

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